マグルの血

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのマグルの血のレビュー・感想・評価

4.7
非常に面白かった
と、素直に言っていいものなのか…。

コインランドリーのおばさんが救世主になるお話。
あらすじを公式サイトなんかで確認すると何とも香ばしい内容。スイス·アーミー·マンのダニエルズが監督。絶対ぶっ飛んでる。映画館で観たい!と勇み足で鑑賞しました。

ぶっ飛んでました。マルチヴァースと冴えない家族の相性が抜群。仕掛けが盛りだくさんの映像、演出に笑いっぱなし。

なんだけど、ストーリーの構造が複雑で初見で理解するのが難しかったです。なんとなくはわかってるんですけど、うまく言語化できないのが悔しい。
次観たときの感想は全然違うんだろうなあ。内容知らないで観た方がいいとは思います。

なんにせよ斬新な展開、思わぬ映像美。笑いあり涙ありのエンタメ爆発作品。考察するのもいいけど、こういう作品こそ頭からっぽにして観るのが合ってるかもしれませんね。



---ここからは追記---

配信で観れるようになったので再観賞しました。結果は初見のスコア3.8から大幅アップです。

初見のときに気付けなかった。気付けるわけがない。ガワが非常に難解に作られているが、中身は非常にシンプルな「愛」についての物語と解釈。
ダニエルズ作品のスイス·アーミー·マンを面白いと捉えたのは、その映像美と作中で描こうとしていたテーマがあまりにもマッチしていたから。

本作においても、マルチヴァースという壮大な世界観を掲げていても、コインランドリーの経営や娘をはじめ家族との関係性という非常に狭い世界の話でしかない。それこそがエヴリンの世界の全て。あまりに多い情報量も、優しくありたいという夫を見習った行動により全てがいい方に向かっていったわけで。

もちろん全て理解できたわけじゃないけど、ある程度の物語の方向性を掴めると、ただのブラックコメディ映画ではない、とてつもないエネルギーを持ったエモーショナルで感動的な映画だったと知ることができました。

そうですね。私の知ってる「エモい」はこういうことなんですよね。

これはエモ映画だ。エモだったのだ。私の好きなエモはここにあった。
マグルの血

マグルの血