コインランドリーを経営するエヴリンは生活に追われ、夫や娘との間にも軋轢が生じている。ある時、別の宇宙から来たという夫ウェイモンドが現れ、エヴリンは「全宇宙にカオスをもたらす巨大な悪を倒す」という使命を託される。
多元宇宙の無数にいる自分からカンフーとかシェフとか特別な能力を得るためのバース・ジャンプ。発動させるためには“変なこと”をしなければならない。その発想のくだらなさ(褒め言葉)、おふざけの徹底ぶり。何をおいても好きにならずにいられない。ダニエル・ラドクリフが死体役を演じた同監督の前作『スイス・アーミー・マン』を思い返せばヘンテコさもおおいに納得。
一方で母娘や夫婦、家族間の相剋から宇宙や哲学と、テーマは普遍的で壮大なところにまで及ぶ。バカバカしさとのギャップがまた際立つ。アカデミー賞獲っちゃったらいよいよこれは凄い。