「宇宙は私に優しい人を連れてきた」
これがビッグバジェットじゃないとかウソだろ!!と思わずにはいられない、カオスな設定と大胆な構成、画作りがハマってる傑作!
どう見てもとんでもない撮影。編集もすごい。
特にジョブ・トゥパキがバーみたいなとこで首の角度とともにチャンネル切り替えるシーンとか最高!
「スイス・アーミーマン」のダニエルズが監督ということもあり、お下劣カオスはお手の物。「なんでここでその発想出てくるの?」というシーンてんこ盛りで楽しい。
どんなに理不尽でも、教えてもらってないことばかりでも、誰も助けてくれなくても、大波を乗りこなさないといけない。そんな日常、誰しも経験あるのではないか。
この映画が描くカオスは、自営業者であること、母であることなど、懸命に生きる皆のカオスの象徴だ。
インタビューを読むと、ADHDであると公言する監督自身が空想しているときのイメージを具現化したものでもあるという。
カンフー映画(特にジャッキー・チェン作品)の面白さってその場にあるもの何でも武器にするとこだと思う。本作にもその要素があって、なんと「あり得たかもしれない他の人生の自分」を取り入れ、武器にして戦ったりする。
他の人生の自分をダウンロードするのは「マトリックス」、いろんな宇宙の自分のシーンが錯綜するのは「千年女優」みたい。
カオスに垣間見えるいろんな名作のエッセンスにニヤッとしながら、優しさをもって受け入れ楽しむ、良い映画でした。