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テオレマ 4Kスキャン版のonisamのネタバレレビュー・内容・結末

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

裕福で幸せな家に謎の魅力的な青年が突然現れ、家族全員と関係を持ったあと、突然去ってしまって家族がおかしくなってしまう。
青年自身には、家族を崩壊させようという意図は特に感じず、後半はまったく姿を見せない。彼は家族がそれぞれ抱えていた欠如を埋めてしまったために、帰ってその欠如に気づかせてしまったから、彼が来る前にしていたように欠如を否認することができなくなってしまった。裕福で幸せそうな家庭が実は空虚だったという家族批判でもありつつ、普遍的な?欠如感を表現した作品でもあるような気がする。でも家族の一人ひとりが壊れてしまうシーンで壮大なストリングスの音楽が流れるのを見ると、やっぱりブルジョア家族の崩壊をカタルシスとして捉えているように見えるので、主題はそうなんだろうと思う。
おもしろいのは、使用人が屋敷を去った後、なぜかイエス・キリストのように奇跡を起こして村の人々から信仰されるようになるところ。彼女がブルジョアではなく労働者階級だからなのか、はたまた青年が彼女を愛したことによって本来の力を自身で認められるようになったということなのかは定かではない。村でのシーンはユーモラスだし、建物、芝生、子供達の服が鮮やかで、後半の箸休めとして心地よかった。
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