このレビューはネタバレを含みます
振り込め詐欺集団に潜入する、元刑事の話。
振り込め詐欺が韓国でも流行っているとは知らなかった事ですし、振り込め詐欺をテーマにした作品もなかなか珍しくて興味深く見れました。
振り込め詐欺をテーマに映画を作るとなると、地味な映画になりそうなものですが、本作は主人公が詐欺集団に潜り込む…潜入捜査モノとして描いているのが面白い部分。
このおかげで、アクションシーンやサスペンス性が増して、娯楽映画として見易くなった様に思います。
まぁ、あんなカイジの地下強制労働施設みたいなコールセンターが実在するのかは謎ですけど、個人情報や台本が用意されていたり、分業制で組織化している辺りは、日本の振り込め詐欺でも聞く事なので、多少の誇張はありつつも間違ってはいないのかなと。
「相手の無知ではなく、恐怖と希望に付け込め!」という台詞は象徴的でインパクトがあったし、少なくとも振り込め詐欺の恐ろしさを啓蒙し、注意を促す効果はある映画と言えるでしょう。
ただ、その一方で、潜入捜査モノの映画として見ると、物足りなさを感じる部分も。
主人公がわりとすんなりと犯罪集団の中に入っていくので、もうちょっと面白いアイディアが欲しかったし、犯罪者側も簡単に人を信用し過ぎですよね。笑
あと、潜入捜査モノならではの「裏切るor裏切らない」的な葛藤・人間ドラマが薄いのも気になりました。
短期間で事件解決へと至る為、全体的に駆け足進行で、所々で消化不良だった印象は否めません。
振り込め詐欺という社会問題を、アクションやサスペンスのある娯楽映画の中に組み込み、誰もが見易い作品に仕立て上げた事は評価する一方、純粋なアクション・ミステリー映画として見ると、ちょっと力不足を感じるのが正直なところ。
まぁ、あくまで本作は振り込め詐欺の実態を暴き、注意喚起する為の映画でもあると思うので、そういう意味では多くの人に見て欲しい作品だなと思います。