映画レビュー用1

すずめの戸締まりの映画レビュー用1のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

すずめちゃん可愛かったね、あんな子いないでしょ
いたら絶対直結が群がってるからね
まあそこがこの映画のいいところ、冗談じゃないよ
本当にクズがいないことで成り立ってる映画
後戸というキーワードに集中させるために、
色んなものを削ぎ落としている感じがあった
メッセージ性はド直球すぎる気はします

後戸、常世にフタをするための扉として、
作中では出てますけど、実に後向きな言葉なのね
過去につながる世界、つまり記憶の世界なの
かつて沢山の人が何もない日常を送っていた世界、
それを記憶しているのが死者の世界であり、
それに我々はフタをして生きている
でも本来は死の世界こそが宇宙を覆う摂理で、
我々生きているところというのは実は仮初、
死を忘れて生きるのは実はいつまでもはできない、
無理なんですね、お返し申してるのは仮初の命、
仮初の命が一時だけ温度を放つからこそ尊い
っていうのがあるわけなんですけど、
我々は忘れるか記憶から目を背けるかしてる
すずめやおじいさんはそういうことですね
そうじゃないよというのが物語の後半なんですけど
一瞬イザナギとイザナミの話を想起しましたね
まあ全然プロットが違うんですけどね

常世では時間は止まってるのね、記憶の世界だから
だけど死によって現し世も時間が止まることがある
前に進めなくなることがあるのね
おばさんもすずめも時間が止まっていたのね
死には理不尽が付き纏い納得できる死は少ない
いや、逆に多かったんですよ、現代日本には
交通事故とか水害とか僅かな例外を除いてね 
ご遺族の方には本当に申し訳ないんだけど、
水害ってあまり死なないんですよ、あれに比べて
死なないようにインフラ整備をし尽くしてるから
やっぱり普通の災害だと沢山死ぬのがもう無いの
それが現代日本だったんだよ
神戸の大震災も死んだのは整備遅れた地域でしょ…
そんな感じで構えていたのが日本人だったのね
それをあの津波は全部押し流してしまった
なのにまた忘れようとしてるんですよ
南海大震災がやってくるとか言いながら忘れてる
普段死が人生に横たわってないから分からない
あの津波を目の前で見て知ってる人が流された人は
どうなんだろう…?死があるだろうか
あれを思い出して飛び起きたりすることはあるかも
でも現実に時間が流れてるのは「死がない世界」
フタが閉じようとしているんですね

僕は防災の話をしたいんではないのよ
作中でもあった生命讃歌、仮初の命の素晴らしさ
それがあれば現し世を生きていけると思うの
それ無くして命の大切さなんて意味あるかね…?
今日を生きるという中にすずめにとっての草太や、
おばさんたちみたいな人たちいますかね?
自分一人だけなら勝手に震えてるだけでいい
一度温かさを知って同じこと言えますかね…?
僕は残念ながらそことは縁を切ってるんですね
なので作中の二人は眩しかったんだけど、
もしいるなら、手でも繋いでみてほしい

あの猫は寂しかったんだろうね
要石になる前にこんなふうに死にたくないと思った
今度こそ愛してくれる理解者と会ったと思った
だけど邪魔者を排除したらその人の大事な人だった
後悔しかないと思うけど突き進むしかない
でも突き進んだ先には悲しみしかなかった
あの猫はどこにも行くところがない、後悔しかない
その後悔を晴らすための旅路で色々起きてしまう
それまで進まなかった時間が進み出す
巡礼は後悔と決別するためにあるかもしれない
僕もどこか巡ろうかな、海の綺麗などこか…
いやまずは痩せよう、そんですずめちゃんを探そう
やべーな、不審者情報に載っちまうよ

※2022/11/29 スコアを3.8→4.2に変更しました