アガサ

すずめの戸締まりのアガサのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

幼い頃母親を亡くした女の子が痛みと喪失感を抱えたまま成長し、偶然出会った訳あり青年を助ける為奔走し、喪の作業も終えるというプロットが『竜とそばかすの姫』にまあまあ似ちゃってるんですけど、新海監督去年『竜そば』観た時ヤベエって思ったのかな。
あちらもでしたが、幼い子どもに「おかあさん」と泣きながら呼ばせるのはずるい。そんなん絶対泣く。
しかも東日本大震災も主題になってて、でも天災な部分だけ描かれて人災な部分は省かれてる辺りなんかもう監督の素直さが一周回って鈍感さに振れちゃってる気がする。

災いを乗り越えて行けるのは、強く前向きな気持ちや他者との繋がりや助け合いあってのこと。どんなに今日が悪い日でも明るい明日は必ずやってくる。みんなで手を取り合って歩んでいこう。
まっすぐなメッセージや希望に満ちたラストは小気味よく、終始テンポのいい展開や美麗な映像もともなって「いいお話だった」と充実感をもって映画館を去りやすい映画でした。

が、キャラクターの行動原理はどれもピンとこないままだったので、いいお話だったけどわたしの心にはいまひとつ残りにくかったですね。
すずめと草太含め、道中めちゃくちゃに胸襟開いてくれる人たちの関係性がみないちように「運命的な出会いだったのです……!」で片付けられるのはどうなんだろう。
いい人を通り越して都合のいいキャラになっていないか。
ダイジンとサダイジンの描かれ方も、強いんだか弱いんだか中途半端でうまく伝わってこない。
信心されてなんぼの神様稼業だから無信心のすずめに引っこ抜かれたまではわかる。
すずめの餌付けで好意を抱くのもわかる。
でも「ずっと1人ぼっちで結界貼ってるはもう嫌だ」から草太に役目を譲渡し、腹割って話そうとするすずめとは没交渉、そのくせすずめに次に開く扉の場所をさりげなくガイドするってなってくるともうわけわからん。
結局最後はすずめの初恋に協力して再び自由を捨て、自己犠牲の道を選ぶ神様。
なにがしたかったんだネコチアン。かわいいけど。かわいそうだけど。
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