M山

すずめの戸締まりのM山のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.7
中盤までのロードムービーとしての心地よさの中に潜む、すずめの言動のちょっとした違和感が、まさか後半明らかになる3.11とのつながりの重要な伏線になってくるとは。

今作は3.11を直接的に描いていることが事前に告知されていたが、セリフでの描写はほぼ全くなく、映像の抽象的な表現であったものの、
それでも明確にあの時の自分自身の経験を想起してしまうほど、3.11は日本に住む人にとって鮮烈な、忘れようにも忘れられない出来事だったのだなと。

新海誠監督作品は全て見ているけれど、本作は監督の作家性とエンタメ性が高いレベルで両立している、一番好きな作品になりました。

ただ、本当に惜しかったのが、草太役の松村北斗さんの演技。

ヒロインが追いかけるべき存在として、キャラクターに説得力を持たせないと成立しない役のはずが、印象に残るレベルに達していなかった。

芝居で草太にもっと厚みを持たせられれば、もっと面白くなったのに、というのが悔やまれる。
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