このレビューはネタバレを含みます
めちゃ良い
生活の中にある奇跡、それが奇跡たる所以を思い出させてくれる
常世にある理不尽で無目的な歪み・その溢出と、現世の人間の思いと繋がりの力の拮抗のもとに成立する世界観は、事実として存在する残酷な現実を生きる中で、個々人になぜか与えられた生の意味を見失わないで欲しいっていう新海誠監督のメッセージが伝わって泣けてくる
神でありながらも生き物にすぎないダイジンが要石としての運命を押し付けられることを一度は放棄して、すずめに愛されて生きてみたい気持ちを抱いたのも至極真っ当で、すずめの草太に対する、また環さんのすずめを想う気持ちと行動を目の当たりして、最後に要石としての役割を引き受けてくれたところに、世界は理不尽さを含む広義の意味でのバランスのもとに成立していて、自分たちの日常を支える背景に何らかの犠牲を声も上げずに引き受けてくれてる何者かがいるかもしれないって突きつけられると、日常の尊さが輝く
世界から森や暗闇の中にある"外側の気配"みたいなものが消えつつある中で、今を生きる人間にその気配を思い出させて生きる力を与える作品
