若大将オーウェン

夏へのトンネル、さよならの出口の若大将オーウェンのレビュー・感想・評価

3.0
欲しいものが何でも手に入る代わりに、戻った時には時間が100年進んでしまうウラシマトンネルって知ってる?

浦島効果をもとにした青春ファンタジーもので、ストーリーの興味は持続した。

浦島効果といえば、新海誠「ほしのこえ」だが、全体的にもテイストは新海誠作品に近い。飛行機雲や水族館、ひまわり…背景の描写で2人を表している演出が印象に残った。

2005年が舞台なのだが、本作で一番おっと思ったのは、メールを下スクロールしてメッセージが見えるというなつかしさ&見せ方だった。(ちなみに2005年らしさはガラケーという点のみ)

リップシンクをかなり意識したと思われる作画やキャラデ、CGの使い方は良質なアニメそのもので、出来は間違いなく良い作品だと思う。

ただ本作そのものが劇中で言及される作品のよう。「色んな設定があるのに、混乱せずに読めた」(確かに)
「でもこれぐらいの作品はたくさんある」(確かに)

具体的にはエモさが足りない。名前を連呼すればエモくなるのではない。名前を連呼するに至るまでを描いて欲しい。

ヒロインが「あなたとだったら世界が滅んでもいい」的な台詞を言うんですが、僕にはそこまでの関係性に全然見えなかった。

あとは雨が降るOPから全体的にしんみりムード、主人公の家庭のクソさ(父親のクソさ)はうまく描けていたと思うが、全体的なトーンもあるのか、この作品のここ見て!ここが面白い!という熱さを持つことができなかった

日本アニメの病である主人公に都合のいいヒロインしかり適当なモブキャラの扱いも気になる

上映時間が90分を切ってるのを潔いと思うかあっさりしすぎてると取るか…

でも質の高いアニメであることは間違い無いです