かぴばる

夏へのトンネル、さよならの出口のかぴばるのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

 夏だ!花火だ!ボーイミーツガールだ!

 妹を失ったことから家庭が崩壊し、妹を取り戻したいと願う少年塔野カオルと、漫画家になるために特別な才能が欲しい少女花城あんず。願ったものが手に入るという噂のウラシマトンネルを見つけたふたりの、トンネル攻略共同戦線が始まる……!

 評価の分かれる作品だと思う。ヲタクの好きはもう全部詰まっている。わずか90分足らずの作品に、青春のあるべき姿全部詰めである。加点方式だと非常に点数が高い。反面、はじめに花城がトンネルに現れたのなんでやねん、花城の態度が急に軟化したのなんでやねん、田舎とか言うてる割に祭りも電車も人いっぱいおるのなんでやねん等、ツッコミどころを挙げればきりがなく、減点方式だとツメの甘い映画となるだろう。私は好き。

 終盤の展開はなかなか衝撃的。得体のしれないウラシマトンネルが「死」の暗喩であり、今まさに心中しようとする男女の不安定な葛藤と危うい恋を描いた作品だと気付かされたとき、なかなかやるなぁと唸った。まぁなんやかや言ってね、夏は花火だよ。ひまわりだよ。ひきこもりのヲタクはね、それで夏にさよならを告げられるからさ。10秒で6時間半のキス、いいよね、それ言いたいだけやろってね。あれだけ見栄えの良い花城に8年間恋人がいないのもね、いいよね、恋ってそうでなくちゃね。












 塔野くんてちょっとエッチだよね、は要らない。あれはおっさんが書いたメール。