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生きる LIVINGのEDDIEのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.7
「今を懸命に生きてるか?」
そう問われている気がした。
ケツのある仕事なら懸命にやるし、夏休みが終わるとなれば宿題やらなきゃってなるわけで。
余命がわかったらあなたはどう生きる?
黒澤明の往年の名作143分→103分と巧くリメイクしてみせた。


めっちゃ良かったですね。
一応黒澤明監督の名作『生きる』もFilmarksにはレビュー書けてないですが、鑑賞済み。

作品の良いところはきちんと捉えて、それを現代でも観やすく、そしてイギリスという社会にも違和感なく『生きる』の世界観を持ち込んだ脚本がお見事。

正直なところオリジナル版は劇場で観れば感想も変わるかもしれませんが、自宅での鑑賞だとあまり集中できないのと、日本語だからか所々聞き取りづらい箇所があるのと、何よりも長いんですよね。もちろん素晴らしい作品というのには変わりないのですが。

名監督の名作品なので貶すつもりはさらさらありませんが、「オリジナルには及ばない」というオリジナル至上主義な感想を観てると辟易しちゃいますね。

個人的には現代でこれだけあの名作を見やすく、そして感情をついてくる作品を作り上げたカズオ・イシグロの脚本は絶賛したいところです。最近のアカデミー関連作品は150分前後の長尺が多いだけになおさらこの潔さとまとまりに感心してしまいました。

主人公の役柄としてビル・ナイはめちゃくちゃハマっていました。
英国紳士のカッコいい装いはありつつも、どこか空虚で頼りない感じが『生きる』の主人公なんですよね。
だけど、余命宣告されてから彼は“生きる”ことを考えさせられ、彼自身が変化を遂げる一連の流れが素晴らしくてもう涙が止まりませんでした。

個人的には今年ベスト級の作品ですね。
マーガレットやピーターといった若手を中心に第三者視点をうまく織り交ぜているところも実に素晴らしかったです。

〈キャスト〉
ウィリアムズ(ビル・ナイ)
マーガレット(エイミー・ルー・ウッド)
ピーター(アレックス・シャープ)
サザーランド(トム・パーク)

※2023年新作映画46本目
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