1952年黒澤明監督作「生きる」のイギリス版リメイク。
黒澤プロットはそのまま、後半のシナリオが大幅修正され、精気を取り戻したウィリアムズの気概が強調され若い課員へ受け継がれる流れがスムースになり分かり易く改訂されていた。
ウィリアムズから手紙を託されるピーター役のアレックス・シャープの表情が一点の翳りもなく初々しかった事も後味の爽やかさに繋がっていたと思う。
舞台がイギリスなのに登場人物がどこか控えめな奥ゆかしさを携えていたところが日本的に見え、深層に黒澤イズムの潮流を感じた。
遠い故郷を想うスコットランド民謡「ナナカマドの木」をウィリアムズは朗々と歌い上げ少し上手すぎたのがイメージ違いだったけど、これも「ゴンドラの唄」同様に静かに沁み入って来た。
オリジナルを大切にしながら分かり易くブラッシュアップさせた秀作、良かった。
何かをやり遂げるのはどんなことでも簡単ではない、諦めず立ち向かって行くこと、それが “生きる” という事かな。
監督 オリバー・ハーマヌス
脚本 カズオ・イシグロ
キャスト
ビル・ナイ
エイミー・ルー・ウッド
アレックス・シャープ
トム・バーク