黒澤明監督の名作「生きる」を同時代の英国に置き換えたリメイク作品。
生ける屍のように日々をやり過ごしてきた一介の老公務員が、人生の最後に何を為せるのか。
大筋は同じでも、カズオ・イシグロ脚本版は英国紳士の美徳を盛り込み、よりセンチメンタルな大人のおとぎ話に。
お通夜の場面のアレンジとか舞台が英国だとこうなるのか。カズオ・イシグロ脚本はそつがなさ過ぎて、感動より感心が先にきちゃった。
もっと捻ってくるかと思っていたけれど、原典へのリスペクトに満ちた端正な仕上がりでした。
志村喬のなりふり構わない哀れさ切実さ(昔観たときはキモいと思った)と比較して、ビル・ナイを動かすのは“紳士”とはかくあるべきという幼少期の憧れ。
ビル・ナイの枯れた佇まいはちょっと絵になり過ぎる。。英国紳士好きなので眼福です。