ゆずきよ

生きる LIVINGのゆずきよのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.8
公開終了間近。滑り込みで鑑賞。
家庭があると2、3時間とは言え、仕事終わりに時間を作る事が難しく、劇場鑑賞する作品は選ばなければいけない。
そんな中で、映画仲間の友人から「これは絶対に好きだと思うから観た方が良い」と、勧められていたため、なんとしても観たかった。
絶対に連休前のこの時期にすべき事では無いとわかっていたが、半ば強引に時間有給休暇を1時間取得して映画館へ。
公開終了間近とは言っても、地方の大型ショッピングモール内にある映画館なので、ポツポツと座席は埋まっている。

率直に感想を言うと、思っていた映画とは少し違った。
「余命を宣告された堅物役人が生を見つめ直す話」というイメージでいたのだが、それほど仰々しい物ではありませんでした。
これはきっと、今この瞬間も世界中で同じ様な人がいる、という映画だと思います。
それを彩るのは、心に響く音楽と古くも美しい街並み。
蒸気機関車に乗るための人波や、往来を行き交う人々を俯瞰で捉えた映像を、淡い色合いで映し、初めて見るのに何処か懐かしい気持ちを抱かせる。
物語としては大きな起伏がある訳では無いし、驚きの伏線回収をされる訳でも無い。
もっと踏み込んで言ってしまえば、彼はそれほどの偉業を成し遂げた訳では無い。
それでも確かに、自分の人生に納得のいく決着を付けたんだ。

いくつか心に残った台詞がある。
それは、これからの人生で少しだけ、私の心を成長させてくれる。
その感情を一過性の物にしない様にしなければならない。
以前、別のレビューでも少し書いたが、私は自分の仕事や家庭での役割に誇りを持っています。
他人から見れば、酷く小さく、自慢にもならないかも知れないけれど、こんな風に仕事サボって、家族に無理言って、映画観に行ったりしちゃうけれど。
それでも私は仕事に真剣に向き合っているし、家庭を疎かにするつもりは無い。
結果として、私が最後を迎えるときに残せる物なんて無いのかも知れない。
でも、劇中でも数人の心が少しだけ動いた様に、無駄だなんて事は何も無いのかも知れません。
その結果は、自分にはわからない事だとしても、満足のいく最後を迎えたい。
そんな人生を、私も送りたいです。
ゆずきよ

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