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生きる LIVINGのNewmanのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.8
設定は1953年のイギリス、ロンドン。ほとんどの国で他国とは関わりなく時を同じくして戦国時代があったように、お役所仕事と言われる、市民を忘れた、前例のない仕事はしない、責任は取らない、そのくせ手柄は自分のものにしようとするという仕事をする人たちはどこの国でも同じようにいるものなのかとまず思った。同じような状況下では、人はたいていの場合同じ行動を取るものなのですね、きっと。人生の楽しみ方が分からないと偶然レストランで会った男と一緒に酒浸りになるが、その場面で増田明美さんが昔々こんなふうに言っていたのを思い出した。「私、同年代の女性と同じように、街に出かけて買い物をしたり、お茶したりして楽しそうに話しているのを同じようにやってみてもちっとも楽しくなかったんです。もっともっと走って速く走れるようになりたいんです」というふうに言ってました。人によって楽しいことって違うし人それぞれでいいんだと納得したし、救われた気もしました。私も群れて楽しむタイプじゃないから。さて、映画に戻って黒澤明の「生きる」を観ているので次はどうなるのか知っているからこそビル・ナイの演技の光っているのが分かる。志村喬は自分の病気を知った後いつも悲しそうな顔ばかりしていたと思うのだがビル・ナイは違う、素敵だ。私は、こっちの方がいい。70年前の映画と比べて洗練されているのは当たり前だという分を割り引いても。映画の日って英語でpicture's dayっていうんだ。当たり前のようだけど、日本人が英語が英会話ができないのは実践的な英語を学んでいないこと、圧倒的に英語に触れている時間が少ないのではと感じた。一度でも見たこと聞いたことがあれば、あぁあの時の、ということになるのだろうと思うのです。ところでケイリー・グラントの映画が「僕は戦争花嫁」とは。どういう映画なんだろう?これから課長の腕を振るうところと思っていたら突然にお葬式の場面になってしまう。これって黒澤明の「生きる」を観た人のための映画でそれを前提に作っているのかもと思ったが違いました。安心しました。
さすがカズオ・シグロ、ノーべル賞作家の脚本という出来になっているでしょうか?楽しみです。私は、今のところは黒沢の勝ちです。
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