バナバナ

ミュンヘン:戦火燃ゆる前にのバナバナのレビュー・感想・評価

2.2
ミュンヘン会談を巡るフィクション。

主人公はチェンバレンの若き秘書官レガトと、オックスフォードの留学経験があり、レガトと親友だったドイツ人外交官ハートマンの二人。
レガトが大学卒業後、ベルリンにハートマンに会いに行った頃は彼はナチ党を支持していたのだが、ミュンヘン会議直前に「ヒトラーは危険」だと接触を図ってくるのだった…。

ミュンヘン会談とは、1938年にナチスドイツにチェコスロバキアのスデーデン地方を帰属させることを英仏伊が認め、承認した会談。
チェンバレン政権がなぜ承認したかと言うと、ソビエトの共産主義を警戒して、ナチス・ドイツに西側の盾となってもらう思惑と、西側も密かに戦争の準備ができるから、という事で、
映画の中でもチェンバレンに、
「ヒトラーが約束を破れば、世界が彼の真の姿を知る。私が恥をかけば安いものだ」
と、カッコイイ台詞を言わせている。

そして、ミュンヘン会談から帰国したチェンバレンを迎えたジョージ6世は、王族のみにしか許されていないバルコニーからの謁見をチェンバレンに許し、国王夫妻とともに、国民からの歓迎を受ける特権を与えられたくらい、当時この調印は「戦争を回避した」ともてはやされたのだが、
一転、1939年9月にナチス・ドイツが協定を破ってポーランド侵攻を開始し、イギリスも参戦せざるを得なくなると、ミュンヘン協定は、
「近代における外交的判断の失敗の代表例」との扱いに変わってしまうのだ。

という事で、本作は歴史の一時点に焦点を当てただけの作品になっている。
イギリスでは、どうしてこの失敗例をわざわざ映画にして撮ったのか?という疑問の声も上がったそうだ。
私も、確かにそれだけの作品だな…と思いました(汗)。

ハートマンが心変わりしたきっかけの女性が、現代風のショートカットだったので、当時の女性に見えなかったのと、
イギリス側の外務省に黒人の人が居たり、インド系のタイプライターが居るのが今時だな、と思いました。
しかし一番の驚きは、チェンバレン首相役のジェレミー・アイアンズが確実にお爺ちゃんになっていたこと⁉
余りに痩せていたので心配になりました。
バナバナ

バナバナ