真魚八重子

魂のまなざしの真魚八重子のレビュー・感想・評価

魂のまなざし(2020年製作の映画)
4.5
女性画家ヘレン・シャルフベック。当時、一時期忘れられた画家になっていたが、1915年に画商のヨースタが彼女の元を訪れ、未発表の大量の絵を見つけたことで再評価の機運が高まった。本作はそのときヨースタにシャルフベック評価を促した、エイナル・ロイターという青年とヘレンの関係性を描いている。

恋愛になりそうなところで足踏みし、距離を置き、15歳年下のエイナルに恋人ができるとヘレンは病みついてしまう。エキセントリックな人にしか成しえなかった絵画の世界があり、毒母の存在がヘレンを苦しめつつ、ヘレンの世界観を作る。エイナルも別に問題のあるふるまいをしたわけではなく、ただヘレンの思惑や距離感が、最初から破綻していたとしか言いようがない。そんな二人が貴重な関係性を築くさまを描いている。

美しい自然と画家の感性が見えて飽きることのない映画。面倒な女性だけれど、ヘレンのような女性は確かに存在していて、そういった人だけが作り出す稀有な芸術性を捉えている。
真魚八重子

真魚八重子