岡香里

エンパイア・オブ・ライトの岡香里のレビュー・感想・評価

エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)
4.0
素敵な作品を映画館で観られてよかった。
誰もいない映画館に、ヒラリーが明かりをつけていき、廃墟に見えるような映画館が美しく息をし始めるようなシーンから始まり、
細かいセリフや映像の写し方にもたくさんのメッセージが詰まっていた。
表面上でわかることなんてほんの少し。
『1秒間に24コマの静止画を流すと、人間は暗闇を感じない』
『光がなければ映し出されない』
人間も、相手に見えている姿なんてほんの少し。
人生に抗おうとする姿はなんとも苦しい場面だったけれど、最後にヒラリーが送った詩にあった、『若葉は何度も芽吹くけれど、年輪には秘密が刻まれている』というフレーズが素敵すぎて、誰にも見えていなくても、意味のない経験や努力なんてないんだと、寄り添ってくれる言葉で感動したし、老いに対する気の持ち方も救われた気がした。
キャストの演技も素晴らしくて、終始世界観に惹きつけられる作品。
岡香里

岡香里