1955年のミシシッピにて実際に起きた白人による集団リンチ殺人事件を元に作られた作品。
シカゴで暮らす14歳のボボは親戚の住むミシシッピへと旅行へ。
衝撃的なシーンも幾つかあったけれど、母エイミーが旅立つボボへ言葉を選びながら旅先での立ち振る舞いや言葉遣いを教えるシーンが印象的だった。
人間も街も発展したシカゴで生まれ育ったボボに保守的な南部の掟を話すのも辛かったろうなとも思う。
実話が元になっているので大まかな事柄は知られているのかもしれないので「ネタバレ」と表現していいのかわからないがここから先、内容に触れるので読みたくない方はスルーして下さい↓↓↓↓↓↓
ボボは小さな雑貨店に入る。レジの女性(白人)に軽い気持ちで声をかけるが返事もない。
そのままキャンディを買い店を出るとゆるゆると着いてくる女性。
その彼女にこれまた軽い気持ちで口笛を吹く。
それがこの事件の発端である。
数日後、彼女の夫はボボを探し出し誘拐しリンチした後、ボボを川へと投げ込んだ。
夫が戦死し、母ひとり子ひとりで生活していたエイミーが何より心配していた最悪なことが起きてしまう。
この作品はこの事件の背景とその後の社会運動、そして2022年にやっと「エメットティルリンチ法」という法案が成立したことにも触れているし、何よりボボを殺した主犯2人が無罪になりながらも数年後のインタビューで大金を受け取りあっさり殺害を認めたことにまで言及している。
なんという鬼畜。
母エイミーに対し、当時、変わり果てた息子の亡骸を人前に晒すなんて狂ってるとの声が上がったとあったけれど、確かに狂っていると思う。
最愛の息子をこんな悲惨な形で奪われたのだからそりゃ狂うだろうと。
実際大きな事件として扱われなかったもっと悲惨なことがたくさんあったんだろうな。