涼

ティルの涼のレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.7
 黒人差別を題材にした映画をこれまで何本見てきただろうか?本作のように最近でも製作されているということは、差別は現在も続いている、ということだろう。

 本作のポイントは14歳のエメット(ジェイリン・ホール)の愛くるしい顔とボコボコにされ判別のつかなくなった無残極まりない顔との対比である。後者はショックを与えるので見せないのかなと思ったら、しばらくして正面から映した。この見せ方が上手い。

 メイミー(ダニエル・デッドワイラー)は、息子を理不尽に殺されたことをきっかけとして公民権運動の方へ進むわけだが、その行動は正しい。
 マジョリティの白人が権力を持ち、法すら白人に都合良く制定されるのであれば、体制の外から行動していくしかない。「はじめから烙印を押されて」でも、反人種差別運動しかないと言っている。

 商店の娘役は10代の無名女優かなと思っていたら、なんと32歳のヘイリー・ベネットだった。かなり感じ悪い役だが、よくぞ!志願したのか?

 アベル・コジェニオウスキの音楽もなかなか良かったが、この人はポーランド人である。そういえば、黒人の映画音楽家をほとんど知らない。なぜだろう?
涼