涼

ディープブレス 呼吸、深くの涼のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 そこに山があるから登る、と同じようにそこに海があるから潜る、ということだろう。山の高度にこだわるように、海の深度にこだわる人もいる。

 アレッシアは小さい時から潜るのが大好きで、常にいい記録を目指していた。そこからフリーダイバーになって世界記録を目指すようになるのだが、それは死と隣り合わせであった。肺が壊れるか、脳損傷になるか。
 普通の水泳なら安全なのに、なぜあえてこんな危険を冒すのか?
 深く潜ることになんの社会的意味があるのか?

 と言っても、好きな人には通じないのだろう。それが生きがいなのだから。でも、自分の記録さえ良ければいいのだから、その生き方は、自己中心的にならないか?

 結果としてその生き方は、最愛の人を死に至らしめてしまった。
 スティーヴンはタイタニックのディカプリオのようである。
 アレッシアの父はスティーヴンの父に対して申し訳ない、一生傷を抱えて生きることになるとインタビューに答えているが、これはアレッシア本人が語るべきことではないか。

 このような悲劇があっても、さらに続けられるアレッシアはどういう心境なのだろうか?
涼