このレビューはネタバレを含みます
そこに山があるから登る、と同じようにそこに海があるから潜る、ということだろう。山の高度にこだわるように、海の深度にこだわる人もいる。
アレッシアは小さい時から潜るのが大好きで、常にいい記録を目指していた。そこからフリーダイバーになって世界記録を目指すようになるのだが、それは死と隣り合わせであった。肺が壊れるか、脳損傷になるか。
普通の水泳なら安全なのに、なぜあえてこんな危険を冒すのか?
深く潜ることになんの社会的意味があるのか?
と言っても、好きな人には通じないのだろう。それが生きがいなのだから。でも、自分の記録さえ良ければいいのだから、その生き方は、自己中心的にならないか?
結果としてその生き方は、最愛の人を死に至らしめてしまった。
スティーヴンはタイタニックのディカプリオのようである。
アレッシアの父はスティーヴンの父に対して申し訳ない、一生傷を抱えて生きることになるとインタビューに答えているが、これはアレッシア本人が語るべきことではないか。
このような悲劇があっても、さらに続けられるアレッシアはどういう心境なのだろうか?