このレビューはネタバレを含みます
白人女性に口笛吹いただけでリンチされ殺される社会…。
確かに人種差別する側が悪いのだろうけど、被害者であるエメットにはあまり同情出来なかったのは映画のキャラ作りのせいだろうか。
なぜ「憎しみを知らない」無邪気なエメットを「黙っていても黒人は殺される」ような人種差別の激しい南部へ行くことをメイミーは許したのか。あんな世間知らずで不遜な態度をとるエメットは、いつか必ず周囲を巻き込むようなトラブルを招いたと思う。
映画の中で、キャロラインと二人きりの時にエメットが「女優みたい」と発言したことも実際には裏付けが取れていないことなのでは?エメットは殺されたし、キャロラインはもっと卑猥なことを言われたと言っている。
映画ではキャロライン役がオバサンみたいに老けて見えたが、実際の事件のWikipediaを読むと当時21歳だったらしい。そしてエメットも14歳の割には体格が良く、大人の男性のように見えたらしい。
まぁ普通に体格の良い黒人男性から二人きりの時に性的な発言をされたとしたら恐怖だよな…だからといってリンチして殺して良いわけはないけど。
インドではカーストの低い女性が理不尽にレイプされ殺されているし、差別なんて今もあちこちにあって、おそらく根絶することは永遠にないのだろう。であれば自衛するしかない。
作中で母親が叔父に対して「銃があったのにエメットを守らなかったのね?自分の子供の方が大事だったのね。私の一人息子なのに」と責めていたが、あれはさすがに酷いと思った。あんな世間知らずな息子を南部に行かせた親が悪いよ。
とはいえメイミー役の女優さんの演技力はすごかった。ややヒステリックな危うげな感じも含めて。