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TAR/ターのMALPASOのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
映画『TAR ター』

いやー面白かった!
最初にエンドロールが流れるんだけど、毎回音楽のところとか真剣に見る。オチがわかりにくいと思うけど、エンドロールを思い出し、一瞬で謎が解けた!そのためにわざわざ冒頭に流したのかもしれない。

主人公リディア・ターはベルリン・フィルの首席指揮者。EGOT(アカデミー、エミー、グラミー、トニー賞を受賞したエンタメ賞グランドスラム)。出す本はベストセラー。

主人公を演じるケイト・ブランシェットの役になりきった演技が凄まじい。前半クラシックに話ばかりで、とても長くて退屈なんだけど、そのおかげで観ていられる。
自尊心にために失墜していくキャンセル・カルチャーを描いたお話。

主人公はレズビアンでひとり娘がいる。娘をいじめている子に「私は父親よ」と言って脅す。アジアのマッサージ・パーラーに出かける。ターはずっと男といった描かれ方をしている。監督によると、当初主人公は男の設定だったが、演じられる俳優が浮かばなかった。ケイト・ブランシェットなら演じられると思い女性に変えたとの事。主人公は女性になっているけど、描かれている事は男のままなのだ。

冒頭のレコジャケを足で並べるところは、女性の男性に対する意志の表現かと思ったけど、どうやら違うみたい。先駆者で大先輩、巨匠たちをも足蹴にするほどの自信、自尊心を表現しているんだろう。

お話はまるで、ディランの♪マイ・バック・ページ!
この主人公は耳がいいのか?幻聴なのか?徐々にホラー感を増してくる。

いろいろと観客に委ねているところがいい!最後も、気づいてもそれは答えではない!

『イン・ザ・ベッドルーム』『リトル・チルドレン』も傑作だけど、トッド・フィールド監督は天才!

台詞に「渋谷文化村」が出てくる。欧米でも文化の聖地なのか?
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