johann

TAR/ターのjohannのネタバレレビュー・内容・結末

TAR/ター(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

1人のクラシックファンとして。
マーラー5番という掛け値なしの名曲はその筋において筆舌に尽くし難い「ある地点への到達」を描いているとされる。
第一楽章「葬送行進曲」から「嵐のように」と指示される第二楽章を経由し常世を彷徨い歩くような第三楽章、ヴィスコンティによって永遠の渚(生と死)の主題とされた第四楽章からほどなく雪崩れ込む爆発的な歓喜を讃える〈復活〉のフィナーレ。
踏まえるに、親愛なる「ART」のアナグラムである名を冠する彼女の生き様をキャンセルカルチャーによる凋落と見るのはいささか早計が過ぎるかもしれない。
バーンスタインによって音楽を喜びを知った彼女の継承の物語が、帝国主義に裏打ちされつつパッケージ化されたプリミティブを舞台に始められようとも。
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