はやひ

TAR/ターのはやひのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
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すごい
どの業界にもいる「権力」の話
元々ビジネス界を舞台に描く予定だったというのも納得。一方で一番この問題が克明に出るのがオケの世界だというのも納得

「パワハラ」という言葉が一般化すればするほどその重大性が薄らいでる気がする昨今だが、こうして観れば多くの人の人生を壊すとんでもない人物であり、かつ権力を握る過程で誰でもそうなり得るということがよくわかる。(構造が権力の腐敗を助長していることを示唆するシーンもいくつか)

「キャンセルカルチャーの映画」とか「天才が狂気に至る映画」とかの形容は的外れで、物語冒頭からtarは腐敗の極地にいるし切り抜き動画は一つのきっかけでしかない。

本人目線と周囲からの白けた目線を通して権力の腐敗と芸術家としての再起まで描き切ったことに拍手。

ちなみに、、監督本人が「何世紀も前に死んだ白人の音楽を着飾って聴く人たちではなく、現代の音楽を熱狂して聴く人たちのための音楽〜〜」という話をしていたが、クラシック界隈から怒られないのかな…?
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