みどり

TAR/ターのみどりのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.7

最初のインタビューでリディア・ターという人物がいかに成功してきたかがわかる経歴、時にジョークを交えて話す姿は自信に満ち溢れている

音をコントロールしてきたと言っても過言ではない、今や天才指揮者のターが
不自然なメトロノームや聞こえないはずの音、隣人の生活音など
自分の手では制御できない音に囚われていくのが印象的だった

女性だけど男性のような振る舞いや行動は自信の表れにも思えたけれど、実際は虚勢を張ってたのかもしれないし、分からない。
けれど、女性の姿をしてはいるが悪しき男性らしさが見える瞬間が数多く存在していた。

マッサージ店(と言われて行った場所)での配列なんてオーケストラと一致していたし、自分好みの子を選ぶ、ということがターが今までしてきた行いだったことをわからせるようなシーンで吐き気がしたのでその後の嘔吐はさすがと唸った

すでに指揮者を解任されていたのに
演奏中に飛び込むシーンも、いかにもこれから入場するようで全く違和感がなかったので一部リディアの妄想も含まれているような気がする 
もっと狂気に溢れた作品だと思っていたので長回しや鏡のシーンが多用されており全く違う印象を受けた

彼女の栄光から転落までの人生と
自分を見つめ直し、迷いを断ち切っての再出発
自分の地位が二転三転あって他者の存在で逆転することも多く、男性のような立場を体現しつつも時に女性さを強調する姿はさすがだった
みどり

みどり