表現をするときは、受け取ってくれる相手が必要になる。
表現者も、それを受け取る側も人間なので、その時の考えや調子によっても互いの印象は随分と変わる。
何も問題ない時は、自慢のジャケットを羽織り、ゆったりとリラックスして自分の楽な姿勢や毅然とした態度に自信と余裕を感じるし、相手もそれに似た印象を感じる。
気持ちや状況が変わると、その違和感や滑稽さをちょっとした事にも感じて気になってくるのかもしれない。
マックスとの講義中のシーンやエンディング直前の演奏会シーンでも、そんな事をふと思った。
この作品では表現のメイン媒体が音楽だったけれど、他の表現方法でもきっと似た事があるのだろうなと思うと少し不安になる。けれど、それでも人間は歴史上でいろいろな方法を使って芸術を築き上げてきたわけで、その揺らぎがきっと魅力なのだろうとも思う。
