Yoshishun

TAR/ターのYoshishunのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.5
天才女性指揮者、堕ちるとこまで堕ちていく。天才と変人は紙一重というが、本作のターもその体現者であり、ケイト・ブランシェットの演技力も相まって観ていて居た堪れない気持ちになっていく。彼女は音楽を愛したものの、その愛し方には他者との齟齬があり徐々にすれ違いを起こし、ついにはパワハラなどの疑惑の目を向けられていく。冷静沈着に生徒に語り掛けていたのに、終盤ではアパートを追い出される歌を高らかに歌い始めたりと、狂い始めるのも中々にユーモラスに描いていて面白い。
確実に観る人を選ぶ内容ではあるものの、嫌いにはなれない作品。

謎が謎を呼んだラストはター自身の音楽家としての再起の一歩のようにも感じた。予告で煽っていた衝撃のラストとはややベクトルが違うにしても、他所でも天才と崇められる第一歩となったのだろう。

そして、彼女にとっての、次の曲が始まるのです。 by 黄前久美子
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