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動画配信は2026年6月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
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目次
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『Three Crowns of the Sailor(英題)』に投稿された感想・評価
櫻イミトの感想・評価
2026/07/16 11:06
3.6
80年代シュルレアリスム映画においてデヴィッド・リンチと並べて語られるフランスのラウル・ルイス監督の代表作。撮影は「去年マリエンバードで」(1961)のサシャ・ヴィエルニー。題名邦訳「船乗りの三つの冠」。
1958年ポーランド。教授を殺害し国外逃亡を企てている学生が船乗りと名乗る男と出会う。男は「3枚のクローネ硬貨を支払い、私の航海の思い出話を聴いてくれたら船に乗せる」と要求し奇妙な体験を語り始める・・・チリのパルパライソで初めて船に乗り込んだその男は、モロッコ、シンガポール、セネガルの港町で不条理な出会いと別れを繰り返し、やがて乗っているのが死者の船であることに気付く。。。
ちょっと他にはない味わいだった。中盤までは観方が解らず「一体何を見せられているのか?」と思いつつも、凝った映像構図に惹きつけられながら鑑賞した。終盤に入ってこの監督なりの“人生の地獄めぐり”を象徴的に描いている事が解ってくると、完全には理解できないものの腑には落ちた。
“現在”はモノクロで、“思い出”は“カラーで描かれる。広角レンズを多用しオーソン・ウエルズ監督の画作り、例えば「審判」(1963)などを参考にしているのが明らか。何度も挿入される赤いフィルターのかかった海の風景は”あの世“を、鏡を使った遊園地でのカットは”迷宮“を解りやすく想起させる。
序盤の沢山の人形が吊り下げられた売春婦の部屋、そして終盤のダンサーなど女性周辺の美術が夢幻的で好みだった。旅の出発点となるチリのパルパライソはルイス監督の出身地であり、個人的な心象風景が特に女性周辺のシーンに落とし込まれているのだと思う。
要するに悪夢的迷宮世界を旅する映画なのだが、夢を再現する“ねじ式”系の映画とは違い脈絡は読み取れる。つまり、左脳(理論)に働きかける不条理映画であり、中期以降のブニュエル監督やアラン・レネ監督の系譜に近い。対して、“ねじ式”やリンチ監督の作風は脈絡のない“夢”や潜在意識を再現し右脳(感覚)に働きかけるもので、同じシュルレアリスム映画でも大きく印象が異なる。
海外評によるとルイス監督の作風は、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの迷宮的な短編小説群と類似しているとのこと。自分はまだ読んだことがないので何も言えないが、ルイス監督の他作品と共にいつか触れてみたい。
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ハマジンの感想・評価
2024/01/14 20:04
4.0
暴動下のワルシャワ、師匠の骨董商を殺害した学生が、船乗りを名乗る正体不明の男に「古い3クローネ硬貨」と引き換えに船に乗せてやると誘われ、ダンスホールで奇想天外な物語を聞かされる。バルパライソからシンガポール、タンジェ、ダカールと世界中を彷徨うように渡る、ラウル・ルイスによるシュルレアリスムな夢想の船旅。歯を引っこ抜かれた腹いせに船首から海に飛び込んだはずの男は翌朝何事もなかったかのように姿を現し、話しかけると「おれは別人だ」と返答する。誰が生きていて誰が死んでいるのか、もしかしたら乗組員はみな幽霊なのかもしれず、生死の境い目がひたすら曖昧な船上の生活。
大量の人形が吊るされ、テーブルにはいくつものチューインガムが蓋に貼りつけられた小さな白い棺が置かれている、「処女マリア」というあだ名の娼婦の部屋。船乗りの背中の皮膚から這い出す幼虫。偽りの乳首と陰部をつけた踊り子「ファム・ファタル」。猥褻で狂暴な絵本のページを次々めくっていくような快楽に酔いしれる。
早朝の波止場での立小便から血だるまの撲殺に至る一連を、俯瞰気味の移動長回しカメラで追いかけるラストが最高に狂っている。独創的で激烈な暴力を撮ることのできる映画作家ラウル・ルイス、尊敬しかない。撮影サッシャ・ヴィエルニ。
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