真一

神々の山嶺の真一のレビュー・感想・評価

神々の山嶺(2021年製作の映画)
4.0
立ちはだかるエベレストの氷壁❄️。
足を滑らせたら一巻の終わり🧗。
目標は、はるか上空に霞む山頂🏔️。
凍てつくような満点の星空🌃。
酸欠と寒さで動かない肉体🦾。
それでも男🧔は、岩をよじ登る。

 本作品を観たら、山⛰️に興味がない人でも心臓バクバク、手汗ベットリ間違いなし!ハイクオリティーの山岳アニメ感動作🎥です。フランス🇫🇷とルクセンブルク🇱🇺の合作。原作は日本🇯🇵の漫画なのに、驚きです。

 世界最高峰エベレスト🏔️には、ミステリーがある。1953年にヒラリー👨が「初登頂」する30年も前の1923年に、英国🇬🇧のマロリー👱‍♂️が山頂を極めていたのではないかという謎だ。「マロリーはエベレストで還らぬ人になったが、遭難したのは下山時で、登頂には成功しているかもしれない」と指摘する声は多いという。70年以上も経過した1999年に、雪❄️と氷🧊に閉ざされた山頂🏔️近くでマロリーの遺体👤が発見されたためだ。

 1923年と言えば、日本🗾で関東大震災🔥が起きた年だ。そんな百年前の大昔にマロリー👱‍♂️は、コダック社の旧式カメラ📷️を持ってエベレスト🏔️入りした。カメラは現在も見つかっていない。もし発見されれば、真実が明らかになる可能性は高い。本作品🎥は、この「1923年エベレストの謎」を、日本人の山岳雑誌記者・深町🧍‍♂️が追うところからスタートする。

※以下、ネタバレを含みます。

 深町🧍‍♂️は、エベレスト山麓で暮らす伝説のクライマー羽生🧔がコダックカメラ📷️を持っているとにらみ、突撃取材に乗り出す。目的は①未踏の南西壁登攀シーンを撮影させてもらう②コダックカメラ📷️を貸してもらい、スクープ記事📰を出す―の二つだった。「撮影には条件付きで応じるが、カメラの話は二度とするな」と仏頂面で語る羽生🧔。深町🧍‍♂️は、この羽生の要求を呑む。一匹狼の羽生🧔と、そっと横からカメラを向ける深町🧍‍♂️の「死の挑戦」が始まった。果たして羽生は、エベレスト最難関の大岩壁🧗を征服できるのか。そして深町は、カメラ📷️の中に隠された真相にたどり着くのか―。これが、あらすじだ。

 本作品は「カメラ📷️に隠された真相」を明らかにしないままエンディングを迎えます。それにもかかわらず、鑑賞後は、悟りを開けたような深い感動を得られます。それこそが、本作品🎥のメッセージではないかと感じます。「そんな真相なんて、実はどうでもいいことに気付きましたか」。そんな作り手の思いが伝わってきます。
 
 ラストは、大岩壁を制覇して1人山頂🏔️にたどり着いた羽生🧔が、下山中に倒れて雪❄️に埋もれていく姿を映し出す。羽生🧔は還らぬ人になった。これによって、羽生の初登攀成功は、神のみぞ知る「幻」と化す。その姿は、1923年に山頂付近で消えたマロリー👱‍♂️と重なっていく。人類としての正式記録を残さず、自分だけの「永遠の記憶」を残した羽生🧔とマロリー👱‍♂️。「なぜ山⛰️に登るかって?そこに山⛰️があるからさ」の真の意味を、私たちは最後に知ることになります。名作だと思います。
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