くりふ

アンネ・フランクと旅する日記のくりふのレビュー・感想・評価

3.5
【はたらくイマジナリーフレンド】

アリ・フォアマン監督とは相性悪かったが、挑戦する人だし、よく知られた元ネタだと違うかも?と劇場行ってみた。

実質のヒロイン・キティーの“変身”シーンのように、ずっともやもやが引きずるが、時々ハッとした。見た価値あったものの、全体ではうーん、どうだろ?という後味でした。

アンネ博物館に保管された日記に書かれた、空想の友人キティーが、何故か現代に実体化して、アンネ本人を探しに出かける、というお話。

まず、なぜ現代なの?と引っかかりますが、空想上の人物が、こうやって苦労して現実を変えねばいけない…という発想に、現代の狂い加減が反映されているとは実感したのでした。

実体化のルールが何だかアバウトで、始め、ついていけなかった。それでもやもやが増したが、大切なのは、日記はご存知のように、途中で終わっているから、キティーはその先を知らない、ということ。ここをもっと引き立ててくれれば、より物語に引き込まれたと思う。

あと、何があっても子供は救われなければいけない、という願いはよくわかりますが、ユダヤ人迫害と、本作のクライマックスとなる、現代のあの問題を等しく捉えてしまうのは、強引だと思う。ウクライナ問題で揺れる今、公開されるのはタイムリーだとも思いますが、分けて考えるべきは、そうしないとね。

アンネ・フランクが現代のオランダでどう捉えられているか、その一端を知ることはできました。

アニメ表現としては、日本のアニメに慣れているとじれったい所もありますが、これは実写よりアニメだからこそ、実現できたことでしょう。キティー退場の仕方なんて、ドライで逆に、余韻を残します。

考える場として、子供にもどんどん、見せるべき映画だとは思いました。

<2022.3.14記>
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