ハル

天上の花のハルのレビュー・感想・評価

天上の花(2022年製作の映画)
3.5
あんなにムカついたのにスッキリした気持ちで映画館出られてびっくり。なんでだろ

三好のことは全然理解できなかった。したくなかったのかもしれないけど。
逆に理解できなすぎてもっと知りたい感はある。ただのDV男と片付けてしまうのはもったいない気がする。詩集めくろ。

慶子さんが主人公だねってくらいカッコ良い場面が多かった。気丈。今の時代に生きる私は別に彼女が「奔放」だとは思わないけど。でもあの時代の価値観においては三好にとって受け入れ難いことはあったんだろうな。...とは思いつつ、それを遥かに凌駕する女の不自由さへの憤慨。日本が戦争に負けて良かった!って思っちゃったよ私も。


愛するって相手を知りたいと思うことと近い、と考える私にとってはあれは愛じゃない。そうは思いたくない。
(それこそ東出さんがナレーションやってた三島由紀夫VS全共闘で、三島が相手に主体的意思を認めないのがエロティシズムだと、自己と他者の関係にまだ入ってないと言ってたけど...やっぱ戦後の考え方なのかな)

三好の表情は強くて苦悩が印象に残った。
なんであんなに我慢してたんだろ。
2人とももっと喋れば良いのにねって今を生きる私は思います。
前の旦那と比べられるのは嫌ですとか、
あなたの理想像じゃなく私を見てほしいとか。あなたに不自由な思いはさせたくないけどお金のために思ってもいない詩を書くのは詩人として辛いです、とか。
詩集読んでもらえなかったところは流石に可哀想だったな...心の柔らかいところ踏み躙られただろう三好の声が印象に残っている。

・「愛ゆえの暴力」!愛ゆえの!!!?は??うるせえじゃあお前が殴られろよって思っ......いや失礼。時代ですよね。そういう言葉が世の中にはびこっていたんでしょうね。お前のためを思って。軍とか学校とか家庭とかで。そしてそれは結局弱い立場に置かれた人に降り積もるわけだ。

・「国家や公に個人を没入させるのは詩じゃない。」カッコいい。あの朔太郎を頭に置いて、また文学館行こう

・「月に吠えらんねえ」読むぞ 
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