ハル

バハールの涙のハルのレビュー・感想・評価

バハールの涙(2018年製作の映画)
3.8
ババールの眼。
強く静かで、絶望と希望を湛えた眼。

そこに至るまでの経緯が明らかにされていく構成、私は結構好きだった。
泥沼化するIS報道の中でも、ペシュメルガ(の女性兵士)のことは希望を持って触れられる少し明るいニュースだった記憶がある。それはこの映画の中で彼女らが歌うシーンにも通じる、強さと誇りを感じられる場面だからかも。

そういう意味では美しく強いババールを主軸に置いたストーリーはとても分かりやすく見やすかった。

中東の話を分かりやすくするのはたぶん難しくて、今回名前が出てきたIS,クルド,アメリカ,反政府,アサドだけでも単純な対立の構図にはならない。
だからシリアは、クルドは、イエメンは報じられずにウクライナは報じられるのかな、ともやもやしていたのを思い出して、「分かりやすさ」について考えていた。
ババール達のように強い原体験があれば、ある種シンプルに世界を見られるようになるのだろうけど。そのシンプルさは「分かりやすさ」と同じなのだろうか


・「彼はカミカゼ(自爆兵)だ」が衝撃だった。自文化恥ずかしい
・クルド語、結構ペルシャ語と似てる。ババールもやっぱり春を意味するのかな。
・そんなに最前線まで行く記者がいるのは知らなかった。なぜその記録が届いてこないんだろう。
・自分が疲弊していると戦争映画を見たくなる、という気づき。
・やっぱり欧米の都合で「英雄」にも「テロリスト」にもなりえちゃうの理不尽だなあ。
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