ジジイ

田舎の日曜日のジジイのレビュー・感想・評価

田舎の日曜日(1984年製作の映画)
3.8
「ラウンドミッドナイト」のベルトラン・タヴェルニエ1984年の作品。パリ郊外の田舎に住む老画家を長男家族が訪ねたある日曜日の物語。1900年頃のフランスの長閑な風景が印象派の絵画を見ているようで美しい。平和そのものの家族団欒のその陰に、常に死の影がひっそりと寄り添っている。ひとときこの穏やかな静寂を、元気で美しい独身の娘が嵐のようにかき乱すが、老画家はそれさえも慈しむように受け入れ楽しんでいる。精一杯の愛情を示してくれる律儀で真面目な長男よりも、奔放で滅多に振り向いてくれない娘の方を、今なお溺愛してしまう老父の気持ちが、痛いほど伝わってきて切なくなった。いつの時代も親子とは、兄弟とはそういう不平等で不公平なものなのかもしれない。
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