フランスの田舎に住む老画家のもとへ、パリから息子の家族と一人娘が台風のように訪れる、とある日曜日の話。
亡き妻の記憶、記憶の片隅にあるような遊ぶ少女二人の幻想、そしてそれほど遠くない父の死を想像してしまう息子。
現実の光と影の中に、幻影が浮かぶ。
こんなおじいちゃんになりたいと思えるほど寛容で優しい慈父でも、子どもや孫が帰る夕刻になると、不安や苛立ちを徐々に露わにする。
老画家がまだ生きている内に、多忙な人生を送る子どもたちは、また遊びに来てくれるだろうか。
次来るときは葬式かもしれない。
生きている内に会えても、とある日曜日にあと数回だけ。
絵もあと何枚描けるか分からない。
それを感じとる老画家。
亡き妻の「人生を欲張ってはいけない」という言葉は、ここで一番重みが伝わる。
最後、真っ白なキャンパスを立て掛ける老画家の眼には、昼間には無かった熱意や生力を感じた。