劇伴がないことで映っているもの、聞こえる音、に、より意識的になることができました。
イヤホンで音楽を流しながら町を歩いているとイヤホンしないときとの視野の狭さをいつも感じるのですが、映画の劇伴も同じような作用があって、それが映画の効果でもあり、観客の感情を誘導する要因でもあると思います。
ただ、この映画にも劇伴がつけられていたとしたら脳内でキャンセルされていった映りこんだものたちがあったのだろうかと考えると、観客に見るものを委ねられたからこそ獲得できた映画の豊かさが確実にあったと思います。
観客も映画に目を澄ますことで、ケイコの見えるもの、を追体験できたような気がします。
