サラリーマン岡崎

ケイコ 目を澄ませてのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
4.6
全然ドラマチックな映画ではない。
でも、これが映画だと思わせてくれる作品。

映画は物語を追うというよりも、
登場人物たちの生活を淡々と描く。
でも、その日常の風景の中に、
彼らの葛藤や喜び、苛立ちが透けて見える。
その感情に対して、なぜそれを思ったのかは
映画でははっきり明言されないことがほぼだが、
どことなく察することはできるし、
聾者であるケイコとのコミュニケーションはそれが主であることを観客にも感じさせてくれる。
語らずとも築ける関係性がある。
まさに、ケイコと笹木の関係もそうだ。
笹木もあまり多くを語らない性格。
だけど、2人は呼応しあっている。

そして、終わり方がとても素晴らしい。
この映画で彼女の人生が終わりではなく、
これからが始まりなのだと思わせてくれる清々しい終わり方。

全然ドラマチックな映画ではない。
でも、これが映画だと思わせてくれる作品。
これこそがドラマチックというものなのかもしれない。