なめらかな世界

ケイコ 目を澄ませてのなめらかな世界のレビュー・感想・評価

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
3.5
 面白かったです。個人的に高評価な点は、映画のために作られた舞台というよりは、ケイコのために作られた映画だと感じた点です。こうやって生きてきた、こういった交友関係、仕事、何よりボクシングへの向き合い方。こういったことに真摯に向き合った素晴らしい映画だと言えます。
 ボクシングやスポーツは相手ありきではあるのですが、実に内省的な行為だと思っているので、今作品は自分には合いました。
 また最近ボクシング映画をちょくちょく観る機会があったのですが、スパーの相手役の方は松浦慎一郎という方で元ボクシングトレーナーの方なのですが、自分が見たボクシング映画に皆勤なの本当に凄い方ですね。
  
 以下ネタバレ含む感想(離して書きます)



























ただ一つ難点(ではないと思いますし、この映画には不要だとも思います)を挙げるなら、これはケイコの物語であるため、カタルシス要素が薄い点ですねまぁこの映画には要らないと思う要素ではあるので、自分の感性が悪いです。その点アンダードックは上手いんですよねぇと言いたいけど、ボクシングのお互い違う側面へのアプローチでもあるので双方素晴らしい作品。話せないかといって不遇(もちろんな部分もありますが)ではなく、超越的でもなく、一人の人間の挑戦なのだ。というのも一貫して伝わってきたのもよかった。
 会長あったかすぎる…。父親が出てこないこともあってほとんど父。最後の試合のそれぞれがそれぞれの場所で見守ってるの演出として一瞬ですがよかった本当に。
 やはりボクシング映画の最後は走りに行くよねぇ〜未来を感じさせる。あんなに苦しんだのにね。