HAYATO

君を想い、バスに乗るのHAYATOのレビュー・感想・評価

君を想い、バスに乗る(2021年製作の映画)
3.8
2024年192本目
終活バス旅
最愛の妻に先立たれた老人がイギリス縦断の旅に出るロードムービー
愛する妻・メアリーを亡くしたばかりのトム・ハーパーは、メアリーとの思い出の場所を訪れるため、ローカルバスのフリーパスを利用してイギリス縦断の旅に出ることを決意する。50年暮らした家のあるスコットランド最北端の村ジョン・オ・グローツを離れ、イギリス最南端の岬ランズ・エンドを目指し、様々な人と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、妻と交わしたある約束を胸に旅を続ける。
脚本家・ジョー・エインズワースが自身の父と義父の会話から着想を得た物語。監督は『グッバイ・モロッコ』のギリーズ・マッキノン。
『ハリー・ポッター』シリーズのピーター・ペティグリュー役などで知られるティモシー・スポールが、実年齢より30歳近く年老いた役を特殊メイクなしで好演し、2021年伊バーリ国際映画祭最優秀主演男優賞を受賞。共演は『ダウントン・アビー』のフィリス・ローガンら。
主人公・トムが出るのはイギリス最北端から最南端を目指す壮大な旅。90歳にして1300kmもの距離を移動するなんてとてつもない覚悟と行動力だ。冒険のワクワク感よりも心配が勝つが、なぜそんな旅をするのかはストーリーが進むにつれて徐々にわかっていくスタイル。
旅の道中で描かれるのは、雄大な景色と様々な人々との出会い。バスを乗り継ぐ中で色々な人々の善意や悪意に触れ、やっと辿り着いた目的地で爽やかな感動が待ち受ける。過去と現在を交互に映す演出の妙が光り、自らが経験した悲劇に向き合うことで得たトムの喜びに想いを馳せた。
バス旅に出たい。
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