ワシ

この子は邪悪のワシのネタバレレビュー・内容・結末

この子は邪悪(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

★前書
先日観た『怪物の木こり』の関連作から選んだ。
内容は全く知らないけど、タイトルでなんとなく選んでみた。

★雑感
5年前に交通事故に遭った家族を巡る謎を描いたミステリーサスペンス。
事故によって5年間も植物状態だった母親が、ある日奇跡的に意識が戻り、退院して家に帰ってきた。
しかし主人公である長女には、帰宅してきたその女性がどうしても母親本人だと思えない。
果たして真相は如何に?というお話。

冒頭部分、近所に住む精神がちょっとアレな人を調べてる少年が登場する。
この少年がやってることって、なかなかヤバいんじゃね?
でもこの行動が、後の展開に繋がってるから、変なケチをつけちゃダメか?苦笑
さらに心理療法院の2階にスケキヨ少女登場!…って、スケキヨなんて表現が通じるの昭和世代くらいだね笑

奇跡的に回復して家に帰ってきた母親の正体は、それまでの流れを観てたら、割りと早い段階で見当がつく。
それに歪な家族であることもわかってくる。

そこには、父親の心理療法スキルが関係してることが匂わされる。
父親の「療法室で話そうか」というセリフは、その時の流れからすると“療法室”って言葉がなんか気になる。

主人公と少年が知り合って仲良くなり、母親に対する疑問を共有する中で、謎が整理されていく。
そして時間にして、ちょうど真ん中あたりで、それまで主人公が抱いていた違和感や疑問は確信となり、物語のトーンも変化する。
そこからこの家族の正体と、さらに驚くべき真実が描かれていく。

様々な謎が提示される前半部分は、南沙良と大西流星の青春ストーリーっぽい味付けもあって、ちょっとダルいなぁ〜なんて思いながら観てた。
しかし母親への疑問が確信に変わってからの後半は、玉木宏が物語を牽引し、意外な展開を見せていく。

「肉体は意識や魂の入れ物」という考え方に基づいたトリックは、ある程度は予想が出来たけど、その全貌には驚かされた。
でもね、あの◯◯◯たちにも催眠かけたことになるので、それを思ったらちょっと可笑しい。
催眠といえば、今が催眠状態なのか解けてるのか、作中では曖昧だったので、ちょっとモヤモヤする時があった。

終盤、父親の狂気の側面とも言うべき、行き過ぎた家族愛が明らかにされるが、あまりヤバい奴の感じがしなかったなぁ。
クライマックスなんだし、もっとブッ飛んだクレイジーさを見せて欲しかった。
まぁそうは言っても、過剰に芝居がかってしまうと陳腐に見えちゃうし、なかなか難しい場面だったんだろうね。

そのシーンの決着が、偶然にも先日観た『怪物の木こり』みたいだったので思わず苦笑い。
瀕死でもよく喋るのが、とっても気になってしまう。

ラストシーンは「いつの間に?」と思うけど、まぁいいか笑
悪くない終わり方だと思うけど、表現があからさまで好きじゃないなぁ。
匂わせ程度というか、解る人にはわかる程度の方がオシャレだったんじゃないかな?

俳優では南沙良が演じた主人公が、心に傷を負ってる風に見えなくて可笑しかった。
なにわ男子の大西流星は、割りと型にハマった良い子のキャラだったのが、突然覚醒するのがオモロい。
そして本作は、玉木宏が居てこその内容だったと思うし、ワシ的には彼こそ主演だったという印象。
地味に気持ち悪い感じがたまらん!

家族の謎、そして家族内の事件だと思わせといて、とんでもねぇ全貌が発覚するところが気に入った。
催眠を使ったカラクリも、予想を上回る真相で驚きがあったし、そんなことを実行するヤバさに戦慄させられる。

リアリティの面で微妙な感じはするけど、物語としては面白かった。
というか、アイドル系の俳優や実力派の俳優、それぞれに見せ場を作りながら卒なくまとまっていて、ちゃんとサスペンスとして楽しめる話になってる。
それって、やろうとしてもなかなか出来ないことじゃないかい?

多少ヌルい感じはするけれど、物語としても作品としても出来は悪くなかった思う。
今回はそんな感じでした。

★後書
観ているとジョーダン・ピール監督作『ゲット・アウト』っぽいものを感じた。
勝手な想像だけど、何らかのインスパイアを受けてたんじゃないかな?
催眠のところとか、意識や魂の扱い方とか。

★余談
キリッとした目鼻立ちの大西流星が、ふとした瞬間、若い頃の伊武雅刀に似て見えて吹いてしまったw
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