【B級ホラー風ポルノを撮る若者たち】
㊗️レビュー200本目！！！！
タイウェスト監督の新感覚ホラー。
〈あらすじ〉
1979年、テキサス。6人の男女が、それぞれの野心と思惑を胸にポルノ映画を撮影するため、老夫婦が暮らす農場の離れを訪れる。しかし、彼らに場所を提供した夫はどことなく落ち着きがなかった。女優の卵のマキシーン(ミア・ゴス)は2階の窓からこちらを覗く怪しい老婆の存在に気付く…。
〈所感〉
ストーリー展開は予想の範疇を超えないが、あまりにもストレートなB級ホラーパロディの宝庫であり、どこかメタ的で面白い。彼ら若者たちは皆アメリカンドリームを掴もうと必死でヒット作を目指して独自のポルノ映画を撮っているつもりのなのだが、皮肉にも自分達の境遇自体が低予算のB級エログロホラーになってしまう。わざわざテキサスで撮影する展開はあからさまに『悪魔のいけにえ』だし、『シャイニング』の有名なドアを斧を突き破りこちらを覗くシーンはひと目でわかるが、他にも多くのオマージュが潜んでいるらしいので詳しい方には是非探していただきたい。そもそも老婆が殺人鬼なんて色々と無理ないか？と思っていたが、意外とイケることがわかった。老夫婦のセックスは2人の間で完結しているのなら良いが、全世界に公表される映像としてはこの世で一番見るに堪えないシーンである。それをあれだけ長回しで映しているのがポイントが高い。血で染まり若く逞しく美しくなったと勘違いしていく夫婦。老いについて考えさせられる。果たして自分はいつまで若いのだろうか？若さだけに執着してしまうと、いずれ、あっち側の殺人鬼になってしまうのか？老後はできるだけ人に迷惑かけず平穏な暮らしをしたい。テキサス以外で。殺人老婆を描いた『Pearl』も見よう。
