自死を希望する香に会うために、昴は1人岩手までの道のりを車で向かう。
2人は側からみればマッチングアプリで会ったカップルのような雰囲気でしかない。
そこに重い、暗いものをずっしり背負ってるだなんてほとんど感じられない。
だからこそゾッとする。
香は見た目は明るそうで社会性もあるような普通の女の子。
家族を失いやりきれない気持ちを10年も抱えて前に進めないでいる彼女だけど、どうにかなりそうな気もして、やるせない。
彼女はなぜそこまでに死にたかったのか?
その背景をもっと深掘りしてくれたら寄り添えたかも知れない。
一方昴は引きこもりである自分に限界を感じてしまったのかも知れないが、皮肉なことに香とのやりとりで少しずつ生きることを知っていく。
アイスを食べて髪を切ってもらって、生きてるってそういうことなんだって知る。
心を決めてた人と決めきれなかった人
人間のメンタルなんて本当不安定で、ちょっとした言動で全ての計画が揺らいだりするのだ。
何もかもがきっかけ、ラストにハッとさせられた。