Kachi

オードリー・ヘプバーンのKachiのレビュー・感想・評価

オードリー・ヘプバーン(2020年製作の映画)
4.5
多くの人にとって、光の中にいたオードリー・ヘプバーンの報われなかった側面を見て、より一層彼女の輝きが際立って見えるようになる、そんなドキュメンタリーであった。

「ローマの休日」でスターダムを駆け上がったオードリー・ヘプバーン。フィルムの中の彼女は、言葉を尽くさずとも自然と魅了されるような輝きを放っており、天に愛されたのだと思わざるを得ないような人物だと想像しがちである。

ただ、彼女の生い立ちや家庭環境、戦争経験、二度の結婚と離婚、そしてローマでの洗礼…自分達が直面するような困難さが矮小化してしまうような困難の多さに、つい世知辛い世の中を呪ってみたくなった。

そんな彼女が晩年をUNICEFの親善大使として活動していく様は、同業者として共感するところばかりであり、彼女の疑う余地のないほどの心根の清らかさに、鑑賞者までもが救いを得られたのではないだろうか。

エンドロールで流れるMoon Riverの余韻に浸りながら、ゆっくりと家路についた。
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