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プックラポッタと森の時間のくりふのレビュー・感想・評価

プックラポッタと森の時間(2021年製作の映画)
3.0
【コビトが見えるより大切なことは沢山ある】

U-NEXTにて。2021年の八代健志作品。

肝となるビジュアル演出は巧い言い訳だなあ、と感心した。

ステイホームの頃、軽井沢の自然に囲まれて発想したらしいが、正直、呑気だとは思ったが。

現実の自然の中に、コビトのパペットを置いてアニメートすると、成る程、SF(少し不思議)風の映像が出来上がる。パペットはふつうに動くのに、背景はタイムラプスの状態となり、太陽の移動を始め、猛スピードで時間が過ぎてゆくわけだ。これは確かに、一見の価値ある画でしたね。

映画史の中では、必ず誰かが既に試していると思うけど、この映像効果を“コビトの動きが我々と違って超低速度なのだ”と言い切ったところが潔い。www

でも、そこだけだなあ、感心したのは。

その演出アイデア一発で終わったかんじ。失われた感性へのノスタルジー、というまあ、使い古された自己憐憫で終わる物語は、あまりに何も考えて居ない気がする。

逆に、現代の都市部にもプックラポッタは生息しており、殺伐としたビジネスの現場にもホラ、あそこでコッチを見ているよ…という話にでもした方が、よほどwithコロナ以降に相応しいと思うのだが。

続編があるなら、ぜひ“上京”してほしいと思います。

<2024.5.22記>
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