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マイ・ブロークン・マリコのmaricaのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

原作よりも生々しい分、いろいろ強かった。親友のマリコが亡くなったことを知り、震える手で本人にLINEを送ってしまう椎野。私もまったく同じ経験をしたことがあって(当時はメールだったけど)、冒頭のそのシーンから胸をえぐられるようだった。

原作も映画も、何よりこの物語に触れてよかったのは、マキオの言う「もういない人に会うには、自分が生きているしかないんじゃないでしょうか」という台詞。死別がつらすぎて様々なことに絶望して、それで自分も死んでしまおうと思ったことはないけれど、自分のどこかスイッチのようなものを切って、しばらく消えていたいと思ったことはある。ただ、椎野の部屋にぶら下がるくたびれた洗濯物を見て、仮に人生がありえないほどキツくても(椎野もボロボロだったし)、ボロボロだとしても「ただ生きて」いるだけで良いと思わせられた。それだけでも絶対に少なからず救いはあるはずだと思えた。

9割方は椎野に感情移入していたけれど、マリコの気持ちも、境遇や立場は違うものの少し分かった。とはいえあの重すぎるメンヘラっぷり(というより完全に病気なんだと思う)は、いくらマリコの生い立ちが引き金になっていて真っ向から責められるものではないとしても、寄り添ってくれている椎野にも悪影響を与えてしまいそうで本当に怖かった。

内容が明かされなかった最後の手紙も、本当は映画だけから読み取るべきなんだろうけど、原作から鑑みるに、マリコは計画的に死ぬつもりもなくて、飛び降りたのはほんの一瞬の出来事だったはずで、きっと椎野に書いていた手紙は別に遺書でもなんでもなく彼女の日常のうちで、内容には、実は「まりがおか岬」に行きたいとか、一緒に牛丼食べたいとか、椎野がマリコの遺骨と一緒にしてきた旅と同じようなことが書かれていて、それで椎野は安心して笑ったんじゃないかなぁと思った。何のひねりもないけれど、現実ってなんだかそんな感じの軽いものなんじゃないかな~
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