見せ方はちょっとクサいんですが、題材やメッセージは良かったです。永野芽郁の幼少期(中学生)の佐々木告さん、演技が上手くてたまげました。
奈緒は極限状態から逃れるために死を選択しますが、実は永野芽郁もパワハラが蔓延してる会社で働いていていて(でもクソ上司に口答えする余裕はあるんですが)、親友を亡くし極限に近い状態にいるんですよね。そこがポイント。
永野芽郁の奈緒への接し方は愛に溢れる反面、精神保健福祉的な視点で見ると絶対にやってはいけない接し方で、でも人間ってそうやって接してしまう瞬間があったりしますよね。結果、奈緒は永野芽郁へ良くない依存をしてしまう。その猛省と哀しみを胸に遺骨となった奈緒と旅に出るわけです。窪田正孝はキャラクター的に非現実的ではありますが、重めな雰囲気に逆スパイスというか箸休めのようないい役割だと思いました。
映画としてめっちゃいいか、というとそうではないんですが「マイ・ブロークン・マリコ」を映像化するにあたってはすごくいい作品だと思います。個人的に女版「宮本から君へ」的なものを感じましたし、タナダユキ監督はどん底→それでも生きるという題材を描かせたらすごく上手に描いてくれます。ラスト、手紙の内容を鑑賞者には伝えない(永野芽郁にだけ伝え、鑑賞者は永野芽郁の感情から内容を推察する)という演出はとても映画的で名演出だと思いました。でも「ふがいない〜」が名作過ぎるので若干の物足りなさは感じました。
色々述べましたが、ピーズ「生きのばし」を主題歌に持ってくる勇気に乾杯。この一言に尽きます。僕ならそんな度胸はありませんが、あのラストシーンからのピーズは悪くなかった、いや、率直に良かったです。
