大倉順憲

Gメンの大倉順憲のレビュー・感想・評価

Gメン(2023年製作の映画)
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瑠東東一郎監督「Gメン」(試写@東映本社)を観て。
<中野のNコという男>
 巷で「顔面狂気」「喧嘩負け知らず」「〇〇を一発でブッ倒した」などという俳優の武勇伝を聞くが、真偽のほどは如何なものか。だいいち、それがいったい何の足しになるというのだ、役者の。関係ないジャン。そんなの。Vシネって、そんなのばっかジャン。
で、このNコさん。強い。無敵だ。「無敵が俺を呼んでいる」だ。
渋谷の宮下公園でK士舘のキックボクサーと接戦の末、イッパツで昇天させ、中野の雑居ビル踊り場で、空手の師範代を血まみれにし、反社会的な男と殴り合いの中、あまりのNコさんのパンチの鋭さに「お前なんか(格闘技及び武道など)やってるのか?」と聞かれたら「習い事?ソロバンしかやってねえよ」と、北方健三の小説にも出てこないような台詞を吐いた男だ。かといって、やたら暴れるわけではない。売られた喧嘩は買う。弱い者いじめはしない。呑み屋で輩をシメタ後には、ビール1本奢ってやる。まるで本宮ひろ志の漫画主人公みたいな男なのだ。しかし、苦手なモノもある。遊園地のジェットコースター系は、からしき駄目。「キャーァアアッ~!!」と、ビートルズ武道館公演の歓声のような悲鳴をあげながらパイプを握りしめて汗でグチュグチュにしてしまう。鉄のパイプも溶けるほどだ。まさに、漫画のキャラクターにはピッタリの男。そうだ、この人の事を、小説に書こうと考えてたンだ。来年の東京中野文学賞、再チャレンジしてみるか。
で、この映画。ヤンキー不良映画らしいのだが、登場人物 誰もヤンキー、不良に見えない。
映画「狂い咲きサンダーロード」の山田辰夫さんは、本当にヤバイ人だと思ったし、俺が高校ン時に観てた日テレドラマ「大激闘マッドポリス」の中西良太さんは、本当のチンピラに見えた。役者になる前は渥美清さんのようにチンピラだったンじゃないかと、当時奈良の田舎モンの俺は想像してた。会ってみたら、兵庫県西脇市の元野球少年じゃないか。伝書鳩も飼ってたらしいぞ。庭でカイワレ大根も育ててたぞ。東京で初めてスキヤキを喰わしてもらったぞ。旨かった…これが役者なんだろうな。と思う。
まあ、いまどきのヤンキーって、この映画の程度かも知れないな。なんでもハラスメントで訴えられるし。そういや、先日どこかの自衛隊でパワハラ事件があった。殴ったンじゃなくて、訓練の際、暴言を吐かれたというのだ。う~ん。暴言ねえ。じゃあ「はい。皆さん、張り切っていきましょう。がんばりましょうね」と言えばいいのか。おい。自衛隊だぞ。存在の是非は、とりあえず置いといて。命がけの仕事だぞ。もういいか。
  吉岡里帆が凄く良い。キャラクターを書きたいのだけど、東映宣伝部が、『まだ公表しないでください』ということなので、書けない。ああ、書きたい。ああ、いいぞ。吉岡里帆。あのシーン、良いぞ。サイコー。よし、拙著映画化の際、長澤まさみ、綾瀬はるか、吉永小百合というキャスティング案に、吉岡里帆も加えてあげよう。吉岡クン。もうちぃっと、待っててくれたまえ。
大倉順憲

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