大倉順憲さんの映画レビュー・感想・評価

大倉順憲

大倉順憲

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(2023年製作の映画)

3.3

石井裕也監督「月」(試写@一ツ橋ホール)を観て。

 30年程前、某障害者施設で非常勤職員をしていたことがあった。5年間だ。障害者に対する差別、暴力、虐待。知らず知らずのうちにしていたのではないか。街
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.6

原田眞人監督「BAD LANDS バッド・ランズ」(試写@東映本社)を観て。

 <俳優 仁科貴>
 先日、ラジオの仕事で先輩の俳優中西良太さんが、「ワンシーンでも良いから、あの俳優の笑顔が良いとか、
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シアター・キャンプ(2023年製作の映画)

3.5

ニック・リーバーマン&モリー・ゴードン監督「シアター・キャンプ」(試写@虎ノ門オズワルドシアター)を観て。

資料に“ドキュメンタリー・タッチ”と、うたっておりますが、まあ、なんと限りなくドキュメンタ
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春に散る(2023年製作の映画)

3.8

瀬々敬久監督「春に散る」(試写@神保町一ツ橋ホール)を観て。

【ワン】俺、23才の冬。
吉祥寺井の頭公園の脇にあった、風呂もトイレも水道さえも無い西陽の射す三畳ひと間に住んでいた。テレビもラジオも冷
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

3.9

山田洋次監督「こんにちは、母さん」(試写@ニッショーホール)を観て。

 10年程前のこと。渋谷にある某TV局の幅2間程の狭い廊下を歩いていると、向こうの方から吉永小百合さんが歩いて来られた。和服姿で
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キリエのうた(2023年製作の映画)

3.9

岩井俊二監督「キリエのうた」(試写@東映本社試写室)を観て。

岩井俊二ワールド全開作品。暴走フルスロットルだ。
アイナ・ジ・エンドかあ。全く知らなかったなあ。CHARA以来(と思われる)逸材を、よく
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ソウルに帰る(2022年製作の映画)

3.3

ダビ・シュー監督「ソウルに帰る」(@映画美学校試写室)を観て。

オフクロの墓参りに初めて行ったとき、悲しくもないのに何故か涙が流れてきた。墓石をタワシで磨いてたら、ポロポロとだ。周りに誰も居なかった
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怪物(2023年製作の映画)

3.0

是枝裕和監督「怪物」(@新宿TOHOシネマ)を観て。

「怪物だ~れだ」。徹夜で書いた構成台本を渡すと「ハイ、ごくろ~さん」と一瞥もせずにソファーの脇へ置いた大俳優。撮ってないシーンがまだたくさん残っ
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遠い空の向こうに(1999年製作の映画)

4.9

父と息子。頑固一徹だが、お互いの事を大事に思っている。少年の夢と彷徨、親父の夢と諦観。これは、もう泣けてしまった。次の小説のネタはこれだ。

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日(2023年製作の映画)

3.5

内田英治 片山慎三監督「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」(試写@一ツ橋ホール)を観て。

歌舞伎町。人によっては、ヤクザとボッタクリの街というイメージがあるらしいが、俺にとっては、この40年。意味も
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Gメン(2023年製作の映画)

-

瑠東東一郎監督「Gメン」(試写@東映本社)を観て。
<中野のNコという男>
 巷で「顔面狂気」「喧嘩負け知らず」「〇〇を一発でブッ倒した」などという俳優の武勇伝を聞くが、真偽のほどは如何なものか。だ
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波紋(2023年製作の映画)

-

荻上直子監督「波紋」(@試写・一ツ橋ホール)を観て。

 「長野県中野市立てこもり事件」をニュースで見て、すぐに「津山30人殺し事件」を思い出した。閉鎖的ムラ社会。裕福な血族の息子。銃免許所持。差別、
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ロストケア(2023年製作の映画)

3.3

前田哲監督「ロストケア」 (@ヒューマントラストシネマ渋谷)

○胃癌で逝った俺の母が、今際の際に残した言葉。
病室に見舞った俺と妹を見て、「あんたら二人産むのしんどかったけど、こうやって2人で来てく
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コンペティション(2021年製作の映画)

4.6

マリアノ・コーン&ガストン・ドゥプラット監督「コンペティション」 (@新宿シネマカリテ)

 26才の時、某人気ドラマに出演した際、「俺たちのことを疑っているのか」という、ひと言の台詞で、丸一日絞られ
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雑魚どもよ、大志を抱け!(2023年製作の映画)

4.9

足立紳監督「雑魚どもよ、大志を抱け!」 (試写@一ツ橋ホール)。

 勇気と友情の物語。小学6年生の頃、俺はそんなこと考えていたのだろうか。ただ自分にとって都合の良いことだけしか考えてなかったのではな
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート監督「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(@新宿バルト9)を観て。
SFにサスペンス、ヒューマニズム、カンフー・アクションと盛り沢山過ぎて、よ
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バビロン(2021年製作の映画)

5.0

ディミアン・チャゼル監督「バビロン」(新宿ピカデリー)を観て。

 あの「セッション」「ラ・ラ・ランド」の監督作品と聞けば、観らずにおられない。
3時間弱の長尺、あっという間だった。映画を観たというよ
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レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)

-

大友啓史監督「THE LEGEND & BUTTERFLY」(試写・丸の内東映)を観て。

 スッカリ舐めてた。「キムタクと、おっぱいバレー…とりあえず観てみるか」と。
古沢良太の脚本が素晴らしい。名
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あちらにいる鬼(2022年製作の映画)

3.0

廣木隆一監督「あちらにいる鬼」(新宿ピカデリー)を観て。

原作:井上荒野。観賞後、同伴ご婦人と新宿G街で呑む。映画の感想をツマミにしていると、老舗のママ曰く「二号さんだからいけないのよ。五号まで作
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退屈なかもめたち(2022年製作の映画)

4.9

鈴木秀幸監督「退屈なかもめたち」(池袋シネマロサ)を観て。

退屈だ。何をいまさら劇団だ。何がチェーホフだ。時代遅れもはなはだしいぞ。
たいしたことも起こらず、たいしたキャラクターも出て来ず、たいした
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ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド(2020年製作の映画)

-

ポール・サルツマン監督「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」(新宿バルト9)を観て。

製作総指揮:デビッド・リンチ/ナレーション:モーガン・フリーマン

 30年程前、友人の俳優Hから電話が
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渇きと偽り(2020年製作の映画)

-

ロバート・コノリー監督「渇きと偽り」(試写)を観て。

 オーストラリアという広大で渇いた土地だからこそ、ジメジメ湿った人間関係による殺人事件が起こりうるのか。多民族が多種多様の生活様式で棲む湿った街
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青春の蹉跌(1974年製作の映画)

5.0

神代辰巳監督「青春の蹉跌」(@神保町シアター )を観て。
この機会を逃してしまうと、次にスクリーンで観られるまで生きているかどうかわからないというやりどころのない不安と先立つ後悔に苛まれてしまったの
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.5

荻上直子監督「川っぺりムコリッタ 」(試写@渋谷ユーロライブ )を観て。

~ 荻上監督パクリ推察~

<シーン①高架下に積み上げられた不要家電と電話の山> 
寺山修司の映画で、このような場面があっ
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おっさんずぶるーす(2020年製作の映画)

5.0

「 おっさんずぶるーす ファミリー編 」(@新宿ケイズシネマ)を観て。

『21世紀のおじさん』監督 前田直樹
「レンタルおじさん」という商売が実在するという話は聞いたことがある。自分自身を、ま
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ハウ(2022年製作の映画)

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犬童一心監督「ハウ 」(東映本社試写 )を観て。

動物が嫌いだった。7才の頃、近所で飼ってた犬に咬まれたせいか。猫も毛がセーターなんかにくっつくし、うるさいし、臭いし。 
 30才を過ぎて 、ふ
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こちらあみ子(2022年製作の映画)

5.0

森井勇佑監督「こちらあみ子」(新宿武蔵野館)を観て。

  今迄の人生で一番数多く(たぶん50回は下らない)観たTVドラマは、 「せんせいけらいになれ 」(原作: 灰谷健次郎/演出: 河合義隆 )だ。
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エルヴィス(2022年製作の映画)

5.0

バズ・ラーマン監督「エルヴィス」(試写@一ツ橋ホール)を観て。

2時間40分という尺に体調を整えて臨む。客席もいつもの後方ではなく、前から5番目という「さらば映画の友よ」の映画マニア川谷拓三さんと
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マーベラス(2021年製作の映画)

5.0

マーティン・キャンベル監督「マーベラス 」(試写@ニッショーホール)を観て。

オンナ殺し屋の話。冒頭からピストルバンバン!キレキレのアクション!カースタント!クールで セクシーなマギーQ最高。
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峠 最後のサムライ(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

小泉堯史監督「峠 最後のサムライ」(試写・一ツ橋ホール)を観て。
今、説得力と求心力のある漢を演じさせたら、役所広司はNO.1じゃないか。年を重ねるごとに脂が乗り切ってきた役者だ。己の意見を貫き通し、
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義足のボクサー GENSAN PUNCH(2021年製作の映画)

4.9

ブリランテ・メンドーサ監督「義足のボクサー」(試写・飯田橋神楽座)を観て。

<拝啓 仁科貴様>
 いやあ、先日は呑みましたね。新宿で夕暮れ時にバッタリ会うなんて、呑まなければしょうがないですからね。
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シェイン 世界が愛する厄介者のうた(2020年製作の映画)

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ジュリアン・テンプル 監督「シェイン 世界が愛する厄介者のうた」(試写・渋谷ユーロライブ)を観て。

 セックス・ピストルズを初めて聴いたのは、中学1年の頃だったか。
「SEX」というワードを口にする
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夜を走る(2021年製作の映画)

5.0

先日、大杉漣さんの奥様から電話を頂いた。新作映画のお知らせだった。
亡くなった大杉さんが企画していた作品だという。観に行かない訳にはいかない。
 遺作となった『教誨師』には、小振りながら昨今の日本映画
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再会の奈良(2020年製作の映画)

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ポンフェイ監督「再会の奈良」(シネスイッチ銀座)を観て。

 聾唖者役永瀬の手書きメッセージ、國村隼と中国老女のボディ・ランゲージ、そしてラストの無言。電話、ガラケー携帯、手紙。コミュニケーション・
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網走番外地(1965年製作の映画)

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石井輝男監督「網走番外地」(DVD)を観て。

 若さと不良性がほとばしっていた頃の高倉健。晩年迄、体力作り、食事節制、感性磨きの毎日だったと聞く。この作品を改めて観てみると、出演者、スタッフが皆、
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とんび(2022年製作の映画)

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瀬々敬久監督「とんび」(試写・一ツ橋ホール)を観て。

 高校1年の冬だった。毎晩のように、バイク、煙草、ロック喫茶、週末は大阪ミナミでディスコと遊びまくってた俺が久々家に帰って一家団欒の食卓につい
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