小さき麦の花のユタカのネタバレレビュー・内容・結末

思いやる相手がいるというのは、貧しさとか体の障がいみたいことではなかなかへし折られないたしかな幸福になり得るんだな。ただ、孤独さだけは本当に手強くて、踏まれるほどに強くなる麦の苗みたいな主人公でさえ、生きることを投げやりにしてしまった。かけがえのないとは、そういうことなんだろう。寂しいラストだったけれど、二人が辛抱強く織り上げた生活や、言葉少なな慈しみが、今もまだ実際に遠い大地でひっそりと営まれているような気がして、あたたかく、切ない気持ちでいます。